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サムライ魂見せたろか?


by ryouya04
昨日は大学生活最後の授業だった。

単位は本当にギリギリで危ない状況だけれど、真面目に学校へなんか行けやしなかった。尾崎も聴いていた。

けれど、随分前からぺ'コータさん(以下ペコさん)とは『最後の授業は絶対ばっちり出よな。最後やし』と固い誓いをしていた気もするが、

そんな誓いは僕は遥かベネズエラ共和国の彼方に忘れてしまっていた。

木曜の時間割は1、2、5限という殺人的に暇な時間ができてしまうスケジュールになっている。

もちろん、僕は1限から授業へ出席するはずだったが、9時に起きて風がごうごう鳴り響いているのを見て、

『無理』というたった二文字の判断を下し、即二度寝に向かった。

二度目に起きたのは11時半。同じ授業を取っている大ちゃんからの電話だった。

『りょうた、今家?』

『うん』

どうやら大ちゃんも寝坊したらしい。ペコさんもまだ寝ていたことを聞かされる。

変な連帯感、安心感から僕は電話を切った後、三度目の眠りにつく。

ピリリとまた携帯が鳴る。

『やまがっさ〜ん、やまがっさ〜ん』

このきしょい声はペコさんからの電話だ。

『ふぁ〜ぃ、すいませ〜ん』

電話の向こうでのテンションの高いペコさんの姿が容易に想像された。彼は僕を『やまがっさん』と呼んだことはないからだ。

なるほど、今日は最後の授業だったか。僕はそこでようやく事の重大さを思い出した。

1限にはもう間に合わないけれどまだ5限がある。

それに今まで1限の授業には真面目に通った試しがない。

最後だけ頑張るというのは虫のいい話。

だから5限だけは出よう、そして学校で飯を食おうということになり、5限の授業よりも幾分早く学校へ向かった。

学校へ向かう車の中でペコさんは何度も『今日が最後の授業やな。』と呟いた。

僕は『朝青龍と白鵬どっちが優勝するかなぁ』と考えていた。

学校へ着くと、キャンパスが凄まじい冷気を帯びた風にさらされていた。

施工主の気の迷いにより、我が大学のキャンパスは山の上に建てられているために風がどうしようもなく強い。

『帰りたい…』

口には出さなかったがそう思った。

授業までの時間は飯を食ったり、暇人してた斉藤さんとタバコ吸ったり、なんだかんだしてた。

そしていよいよ5限の授業が始まる。

4限終わりの斉藤さんはペコさんを連れて帰りたがっていて、僕はもしかして帰るんじゃないかと内心ヒヤヒヤしていたけど、ペコさんは執拗な誘いを頑なに拒んだ。

ペコさんの最後の授業に対する鬼気迫る熱い闘志のようなものを感じた。

5限の授業は先生がレポートの事に関してうんたらちんたらあれやこれや言うという大変大事な授業だったため最初から真剣に聞いていた。

出席表に名前と学籍番号を書くために僕は大ちゃんにペンを借りた。

ふと前の席のペコさんを見ると何とペンを装備している。

いつもは僕と同じく授業手ブラ族なのに…。

なんてやつだ。恐れ入った。神かこいつは。

しかもそのペコさんの装備しているペンはただのペンではなく耐水性だ。

もう何と言うか限りなく油性に近いのである。

もはや書き間違いすら起こさないという意志の表れだ。

こやつはいい先生になるぞ。ペコソンセンニン!!

授業での大事な話は終わったので大ちゃんとペコさんと3人で途中でタバコを吸いに行った。

いつもはここで大ちゃんに出席表を渡し、帰るケースが多い。

タバコを吸った後、留学から帰り勤勉家へとイリュージョンチェンジを果たした大ちゃんはそそくさと教室へと戻る。

教室の外に取り残される僕とペコさん。

『帰ろうよ』

僕の声が冷たく暗い教室前の通路に響き渡る。

『最後やし、自分の手で出席だそうや』

『帰ろうよ。(早く帰らないと相撲が終わってしまう)』

『最後やしな、頑張ろうや、なっ!りょーた。』

負けたよ、お前には。お前の気迫には負けたよ。完敗だ。君の意志に乾杯!!

授業が終わり、自分の手で最後の授業の出席表を一番前の机に出しに行く。

震える右手で出席表を机の上に置く。

なんと誇らしげな気分だろう。

どうだ、俺は今自分の手で出席表を出しているぞ、みんな見ているか、見なさい!そしてあわよくば褒めてくれ。俺は今、自分の手で出席表を出しているぞ。出しているんだぞぉーうぉー!

と叫びたくなるような誇らしさ。

代返もいいが、やはり自分で出す出席表は重みが違う。

俺頑張ってるかもという気持ちになる。

コメントとか書いちゃおうかなというどん欲な気持ちになる。

ついでにメガネもかけるかという気持ちになる。

しかしすべては錯覚。

出席表は自分の手で出すのが当たり前なんだ実は。

世の中って不思議。

今まで代返してくれたひとありがとう。

そして、僕がもし卒業出来なかったら、きっとそれは誰のせいでもなく代返してくれなかったひとのせいだ。

せやろがい!!

Choose Attendance paper!!
# by ryouya04 | 2008-01-25 07:52

べいびーどんとくらい。

もう4ヶ月前のことになるが、憎き姉に子供が生まれた。僕は伯父さんになった。

山縣家で物議を醸し出した子供の名前は、僕の「むなし」は却下され、(姓が宮本のため)流行の「こうき」というヒールな名前になった。

甥っこが生まれたと聞いて僕も産婦人科に駆けつけたわけであるが、それが、未熟児で生まれたからなのかもしれないが、人間とは思えない容姿であった。

僕は『ピッコロさんがいる』と呟いてしまったほどである。

しかしまぁ時間がたてば、何となく人間に近づいてきて最近ではエイリアンぐらいには進化した。

姉がそのエイリアンを抱っこしている姿を見ると、まさにエイリアンvsプレデターなのである。本当に。

僕は小さい子供があまり好きではないが、姉のいない隙を狙って時折抱いてみる。

小さいくせに重い。

先日、僕が実家に帰った際、リビングでテレビを見ていたときである。

『ゔぇーゔぇー』

エイリアンが泣き出した。

おかんと姉は料理を作っている。

『ちょ、りょうた、こうきくんをあやしといて』

俺が?俺がやるのか?

まぁいい。若干半笑いでベビーベッドに近寄る。

なぜこいつは泣いている?腹が減ったのか?おむつか?機嫌をとってほしいのか?

とりあえず、ベビーベッドに装着されているボタン押したら音楽が流れてぐるぐるまわるやつを押した。

曲は子供が好きそうな「its a small world」にした。

ちゃららぁーらぁらぁ、ららららら♫…

『ふゔ、ゔぇーん』

どうやらこの曲がお気に召さないらしい。

なかなかファンキーなベイビーだ。

こうなったらもうあれしかない。

僕ぁ心を込めて『君が代』を子守り唄代わりに歌う。

『こら、りょうた!そんな怖い唄やめなさい』

キッチンの方から母の声がする。

怖い歌とはなんぞや!国歌やぞ。国歌!

そのときである。

『ゔゔぇー、ゔぇ、ふぅぇ、ふぅ、ZZZ』

泣き止んだ!!!

それから山縣家ではエイリアンが泣き止まないときは子守り歌代わりに君が代を歌うことにしている。

きっと将来、鳥肌実みたいになるね。

ちなみに、カラオケで君が代を歌うと、怖い。だが、締まる。

僕は今年も骨折したり、犬が腰を振ってきたり、カラオケに誘われなくなったり、あまりいいことなかったけど、みなさんはどうでしたか?

みなさんよいお年を。

Choose Baby-sitter song!!
# by ryouya04 | 2007-12-21 18:32
僕達は時に、自分には理解し難い他人の行為や価値観に触れると受け入れることなしに拒絶する。


僕は努めてそのようなギャップを受け入れようとはしているけど、やはり自分には理解できないものを簡単には受け入れることが出来ないし、差別や偏見と同じでそれは本質的になくならないものだと思う。


しかし、問題はそこではない。

もし、他人に受け入れられなかった場合、ひとはいったいどんな言葉を発し、どんな行動をするのだろうか。

問題はそこにある。

きっとそこには僕が求める悲しみの奥深さがあるに違いない。


バスケ部のドンくんの話をしよう。

彼はマレーシア人で、今はまっている口癖は『いいんじゃん』である。

彼はややゲイっぽい服装や行動をするが、そこには直接触れられないATフィールドがある。

また彼は時折『ボクは、バイ(バイセクシャル)だから。』という冗談とも本気とも取れる発言を言い放つ。

みんな愛想笑いである。

そして事件は起きる。

9月の半ば、試合の遠征で僕らは鹿児島に来ていた。

夜、遠征先のホテルで、僕とナオキの部屋でヤンキーゆうすけとドンで酒を酌み交わしていたときである。

ベッドに横たわっていたナオキの横にドンが添い寝する。

ナオキはゲイ受けする顔を持つ鬱気味イケメンである。

デンジャラス!!

ドンはナオキが鬱気味な状態なのをいいことに、ナオキの体をまさぐっていく。

ナオキ 『なんだよ、やめろよぉ。』

ドン   『いいんじゃん』

この押し問答が1分ぐらい続いただろうか、最初は笑いながら拒否をしていたナオキも次第に言葉に熱がこもってくる。

『やめろってば!!』


ついにナオキは寝ていたベッドから立ち上がり、怒りをあらわにする。

そのとき、ドンは遠い目をして、去っていくナオキの背中に向かって淋しそうな顔でこう言った。

『ナンデ?』

その言葉には純粋すぎるほどの疑問の念しか込められていなかった。

ヒトとヒトとは簡単に理解できない、

これはそういう悲しい話である。


Choose love!!
# by ryouya04 | 2007-09-19 00:50

けんおんくん。

みんなの平熱はどれくらいだろうか?

僕は大体35度7から8分。

わりと低い。

つい先日風邪をひいた。

38度6分。

生死を彷徨った。

遠くからばぁちゃんが手招きしてたけど振り払った。

その風邪を引いて以来、僕は体温計で熱を測るのがクセになってしまった。

もう体温計なしでは生きていけないと思う。

朝起きては体温を測り、ご飯を食べては測り、タバコを吸いながら測ってみたり、思い出に浸りながら測ってみたり、気がつくと常に体温を測っている。


35度8分。

その数字を見ただけで安心する。

体温計は僕に安心というプレゼントをくれる。

こいつのいいとこは変に媚びたりしないことだ。

客観的に数字だけを表示し、その日の気分や相手によって意地悪に数字を上げたり下げたりすることがない。

そういうところがいい。

なんて誠実なやつなんだ。

分け隔てない人間関係の構築。

そして研ぎ澄まされたシャープな体付き。

ボディの上の方にはよく分からないが「OMRON」というロゴがかっこよく彫られている。

かなり最先端な装いだ。

極めつけは、この体温計には名前があるということだ。

体の裏に張られたシールをよく見てみると、『けんおんくん』というかわいらしい名前がついていた。

今まで体温計という名前でしか呼んだことのない自分を恥じた。

素敵な名前があったんだね。

けんおんくん。_e0087535_0271846.jpg
















けんおんくん。




そんなこんなでけんおんくんと戯れていると犬猿の猿のほうの姉から迷惑メールが来た。

『就職がどうとかよりも、まずは卒業できるかだね。』

頃合いを見計らったかのように姉は、僕のナイーヴな心の中にズケズケと土足で入ってくるかのようなメールを1年に2,3回送る。


イライラしながらおめぇに言わたかねぇと携帯の画面に叫んでいると、

けんおんくんが心地よい電子音を響かせて体温を測り終えたことを教えてくれた。



36度5分。




やっぱり熱が上がってた。




Choose Temperature!!
# by ryouya04 | 2007-06-04 00:57

油断は禁物。

先日電車に乗っていたときのことだ。

その日は春とは思えないほど、温かい陽気で、みんな上着を片手に抱えたり、腰に巻いたり、肩に掛けたりして、半袖姿になっている人が多く見られた。

僕が座っている前に立っている女性の姿も例外ではなかった。

ただ、ひとつ大きく違っていたのは、

半袖からワキ毛が見え隠れしていたことだ。

どうしたことか。ジャパニーズガール。

何とも間抜けな光景である。

年齢は20代後半だし、容姿だって悪くない。女性捨てるにはまだ早い。

なのになぜ?

なぜそんなにワキ毛を蓄えている。

手すりへと伸ばしたか細い右腕の奥から、ちらりと見えるワキ毛。

座っている僕からは贅沢なほどその光景が眺められる。

僕はなるべくそのワキ毛に目をやらないようにして、視線を下の方に向け、青春のアルバムの1ページをそっとめくるように、トラウマのような過去を思い出していた…


あれは僕が中学1年生ぐらいのときだっただろうか。

家のリビングでテレビを夢中で見ていたときだ。

『お風呂湧いたから早く入りなさい』

という母の声。

僕はテレビに夢中だったので、横で一緒になってテレビを見ていた姉ちゃんに、

『先に入ってきてや』

と声を掛けた。

すると姉ちゃんは、

『わたし、きょう毛ぇ剃るし、遅くなるからあんた先に入りなさい』


あの時ほどカルチャーショックを受けたことはない。

え?いま?毛?そる?

僕はハテナがいっぱいのままなるべく動揺を見せないようにして、

『わ、わかった』

と言って、お風呂に入った。

湯船に浸かりながら

『女のひとって、毛ば剃りよるとかぁー』

と新しい世界の発見に驚きを隠せなかった。

ということは、クラスのマドンナ的存在のあのコもそのコもみんな無駄毛を剃っているということになる。

女の人は毛が生えないと信じていたピュアな僕は、日夜女子が風呂場で涙ぐましくムダ毛処理を行っている姿を想像すると何だかとてもやりきれない気持ちになり、

世の中も大人も信じられなくなり、夜中に校舎の窓ガラスを全て叩き割ってしまいたくなった。

風呂から上がり、姉ちゃんが風呂に入っている間、おかんに何気なく聞いた。

『母ちゃんもムダ毛剃りよるとか?』

おかんは大きく頷き、定期的にその作業を行っていると教えてくれたし、冬場にはワキ毛を剃らない女性もいるという新たな知識も放り込んでくれた。

僕は『へぇ~』とただただ関心するだけであった。

それから、僕は成長し大人になり、欧米や欧州の女子などではムダ毛処理を行わない、つまりワキ毛が生えていることこそが『美』とされているということを知って、

ワールドワイドなムダ毛知識を手に入れた。

あなどれないムダ毛ワールド。


そして、奇しくも今、僕の前にはワキ毛を蓄えた女性が立っている。

感じるスピリチュアルの世界。

母の声が聞こえる。

『冬場にはワキ毛を剃らん女性も多い』

母が与えてくれた知識をムダには出来ない。

ということはだ、まだこの僕の前に無表情でワキ毛を、見せ付けている女性は、

もしや、まだ春になったことに気づいてないのでは?』

何の罪もない女性を笑いものにしてはいけない。

世界では女性のワキ毛にとても寛容な国もあるのに、それを知らない、無知な日本人に笑われたりなどすることは、この女性に対して失礼である。何よりワキ毛に失礼である。

駅に着き、僕は席を立つ瞬間に

『もう春ですよ』

とそっと囁こうとしたが結局何も言えずに僕はその電車を降りた。

相変わらず無表情でワキ毛をだしている女性を乗せた電車を見送りながら、

自分の無力さを悔やみ、ワールドワイドなムダ毛知識を知らないジャパニーズにこそこそ笑われている女性の姿を想像すると本当に胸が痛んだ。

彼女はただ春が来たことを知らないだけなんだ。

僕が座っていた後の席には、どうかムダ毛について寛容な人間が座っていて欲しいということを
ただただ僕は遠くから祈ることしかできなかった。


Choose WAKI hair!!
# by ryouya04 | 2007-04-25 02:51